lapin noir

Diary / Photographer / Sapporo

白いラスクの安堵

 楕円形にトリミングされた短い尻尾の動きより、リズミカルなステップと顔の表情を見れば、その日のご機嫌がわかる。いつもより軽快で、今日は「うれしい!」が体全体から伝わってきて微笑ましい。
 午前、愛犬との散歩で近所の公園へ寄った。広さは小規模で、何年か前の改修工事の際に、滑り台は2方向から1方向になって、ザイルクライミングが新しく設置された。事故が原因で撤去されつつある回転遊具は残されたが、全体として遊具数は減り、その分広くなった芝生の多目的スペースで、園児たちが無邪気に駆け回っている。足元からついて離れない影は存在感が薄く、ここぞとばかりに発散している子らの口元にはマスクがない。保育士さんも数えるほどしかしていない。
 公園縁にある置石の匂いチェックに忙しい愛犬を気にしつつ、9年前の原発事故のことを思い出していた。見えないものに対する不安、死者数だけで判断できない深刻さは今回と似通っている。そして人為災害だった証拠が次々と挙がって、私たちは後になってからその事実を知った。

 今回のパンデミックは国内、世界と見渡して、皆どう考えるだろうか。

 数日後、数か月後・・・いや1年~2年後と、どの時期を想像しても全く良いイメージが湧かない。起きては欲しくない自然災害が頭をよぎる。1年後に延期されたオリンピックも今一つ現実味がない。

 残念ながら今のままだと相当厳しい現実が待っていることは確かなので、変えられる事は変え、新しいベクトルを決めるなど小さな希望を集めて、なるべく健やかでいたい。実生活では変化させたいことがあっても、継続する自信が持てないので余計に困る。楽しみがないと無理なのだ。公衆衛生に対しての意識や価値観、ライフスタイルの変え時と思って、出来るところから頭でっかちにならず"fun"を見つけていきたい。約束をしたままメッセージだけのやりとりになっている友達に会いたいし、ギャラリーにも行きたい。まだ、出会っていない人達にもたくさん出会いたい。

 夕方過ぎ、明朝に回収へ来る大型ゴミ2つを部屋から移動した。雨の予報なのでリサイクルにはカバーをかけて準備万端。
 戻ると10年以上隠れていた白壁は綺麗だった。それを活かして圧迫感のないロータイプの家具をレイアウトしてもいいかなと思った。想像していたより遥かに白い、その白壁を暫くぼーっと見ながら、頂いたトリコロールのパッケージで有名なガトーフェスタハラダのラスクを頬張った。片面はホワイトチョコレートで覆われている。
 「はあ、美味しい」と、ほっと一息。甘さが口の中で広がったその幸せ気分のまま、ベットの上で疲れた体を横に倒した。


2020.4.8 記