lapin noir

Diary / Photographer / Sapporo

下弦の月

 虫が鳴いている。夕方より風が弱まった。何かが始まるような、懐かしさにふと気持ちが落ち着くような、そんな夏の夜の匂いを感じる情緒は、突然吠えた犬と救急車のサイレンに打ち消されてしまった。

 今日は関東を中心に危険な暑さと言われ、群馬と埼玉で40度を超えた。札幌も朝から27度と、起きてすぐにクーラーを入れるくらいの蒸し暑さだった。駅から会社までの直射日光を受ける道を歩く私は、他人から「マスクをしない人」と分類されただろう。新型コロナに関する最近の状況は、全国的に20代、30代の若者を中心とした感染者が多く、夜の街から家庭や職場へ広がる中、治療薬の効果や重症化しやすい高齢者が一定の割合で収まっていることから、死亡者数は春より低下している。札幌は7月後半の4連休から2週間経過した後も、爆発的には増えておらず、毎日10人前後というところ。実際、私の直接関わる人ではないが、そのご家族の方で検査をした人がいた。結果は陰性だったが、誰が感染しても不思議ではないので、引き続き感染対策には気をつけたいと思う。

 本当ならば他人と話さないで済むならその方がいいのに、私は無駄と思われるような言葉を交わす癖が未だに抜けない。わずか数秒程度の会話。マスクをしていても不必要な会話を避ける行動について考えてしまう時がある。ただ、それは業務上であろうとなかろうと、職場で仕事をしやすくする為に、人とのコミュニケーションを円滑にしたいのであって、何も好きで喋っているわけじゃない。けれども日々の積み重ねで人間は決まってしまう。自分のことを分かってもらって、相手のことも理解する。相性が悪ければ諦めは必要だが、日常でのコミュニケーションさえ碌にとれないのに、テレワークで成果を上げるなど夢みたいな話だ。

 と、まあ・・・そんなことを言いつつも、今だからこそ無駄話できるのが嬉しい、という本音は勿論あったりする。


 人のマスク姿だって見慣れてきた。顔の表情や選ぶ言葉、仕草や雰囲気を含めた全体像を見ることが多いので、顔の半分が隠れているだけで、相手を捉えずらく感じてしまって、話しても何か物足りなかった最初の感覚は、今それほどない。中途半端にさぼっていた化粧も、気持ちに張りが持てないと、すぐにいつも通りした。 
 そして、給付になった10万円はとっくに使った。「消費してるねえ」と友達に言われたが、部屋の整理の為に買い替えたり、普段なかなか手の出ない物を思い切って購入した。皆んな、それぞれ出来る事をしていく以外にないという些細な日常の中で、この時期だからこそ目に見える形で「これをやった」という充実感も欲しい。物を減らして、なるべく居心地のいいスペースに身を置いて気持ち良くいたい。こうやって書くことや写真をまとめるのもまた然り。



 もう少しで下弦の月。


 雨が降ってきて月の姿は雲に隠れたけれど、自分の大切だと思っている事や伝えたい事は意外と何も変わらない。
 
 元気でありますように。おやすみなさい。



2020.8.11 記