lapin noir

Diary / Photographer / Sapporo

夏は、カルピス

 2019年8月18日、その日は暑かった。車を止めた後、目印の看板を曲がって路地裏にあるペコラネラへ入った。
 店内を一通り見ながら写真を撮らせてもらい、1階でドリンクを注文。喉が渇いていたので珍しくカルピスにした。少し経つと店主はマーブル柄のローテーブルへと運んでくれた。生まれた時から長く住んでいた家に、このローテーブルと同じ様な物があって、見た瞬間に凄く懐かしくなった。自営業だったうちのどこかの部屋で使っていたんじゃないだろうか。そして、カルピスはよくお中元で貰い、2階の曾祖母の部屋にある小さな冷蔵庫に入っていた。無くなるのが勿体なくて、いつも遠慮がちに飲んでいた気がする。氷を入れて水で割り、かき混ぜる行為がウィスキーの水割りみたいで、その瞬間だけ大人の気分を味わった。けれども大人になった私はウィスキーを飲まない。大人の特権はウィスキーを飲むことではなく、メニューの中から自由に選択できる事にあると当時は知る由もないのだ。今も変わらないカルピスの甘さが、この歳になってから知った夏を思い起こさせ、店主との会話の隙間で私は時折ぼんやりしていた。

 2021年7月11日でペコラネラは閉店する。もう少し時間があるのでお店へ行こうと思う。

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2021.6.25 記