lapin noir

Diary / Photographer / Sapporo

四月

 触れられない場所がある。だからこそ見せてあげたい景色があった。ゆっくり時間をかけながら、いつかどこかで共有し、より良い道を探し過ごしていく希望は、もうこの先ない。彼はまた堂々巡りをするだろう。相手の希望は自分の希望。不器用でも、一生懸命こつこつと生きるだけで素晴らしい。人生の折り返し地点を過ぎ、「これから50年生きるわけじゃない。長生きはしなくていい。短く太く生きたい」という相手に、私は悲しくなったが、それでも何かをきっかけとして、簡単にこの関係が終わってしまうかもしれない胸の内を仄かしてきた。疫病は他人を遠ざける。たまたまそういうタイミングだったというだけだが、離れたい者にとっては絶好の機会にもなる。残酷だ。
 プライベートや職場でのごたつきは、結論を出すことは勿論、対応を切り替えて解決するほかなく、なるべく気持ちを理解してくれそうな人と全然関係ない話をしながら笑って、気を紛らわした。プライベートは今更なのでそうでもないが、やけに最近職場でのストレスが溜まってきているのが分かるので、ガス抜きをし始めている。
 今、大きな体調の変化はなく、そこそこ元気だ。働き方に融通が利く会社にいられる事や何時でも手を洗える環境、国民皆保険制度は有難いし、夕方の空焼けの綺麗さに見とれながら、これから行ってみたい店のことを想像したり、感覚が合わない人との対峙に疲れても、似た感覚の人とピースの合う時がまたやってくると楽観的に考えたりして、色んなことを頭の中で巡らせながら、お昼は野菜のあんかけがのった温かいご飯を勢いよく食べた。
 4月1日から新年度が強制的にスタートしている。先月中に異動する職員の人事は通知され、新型コロナウイルスの関係で、入社式の参加者は限定、関連行事や会議は中止となり、支社や各拠点の職員は本社へ向かうことなく通常通りの就業になっている。朝、新入社員の紹介が始まり、いつもより活気がある部内だった。
 心地よい風に吹かれるのはまだ先。札幌の4月の風は冷たい。週末は引き続き、片付けをしよう。大型ゴミをそろそろ処分しなければいけない。

2020.4.3 記