lapin noir

Diary / Photographer / Sapporo

100円玉が落ちていたら

 今日は祝日らしい。カフェで注文する時、入口付近まで続いている列を見て気がついた。最近は平日と休みの区別がついていない。変異ウィルスが流行中なので、店内での飲食はやめてテイクアウトにしよう。列に並んでいると、友人が入口のドア近くに落ちている100円玉を拾って「ラッキー」と言い、ほんの小さく喜びながら渡してくれたが、私は受け取らなかった。落ちている硬貨を見つけるなんて何時の事だったか思い出せない。

 『百円拾って使うのは犯罪だけど、百回離婚したって犯罪じゃないからね。』

 坂元裕二さんが脚本を書いている『大豆田とわ子と三人の元夫』で、とわ子の親友・綿来かごめが言っていた。坂元さんと言えば、公開中の映画『花束みたいな恋をした』で話題になっていて、今回のこのドラマも『カルテット』に似て面白く、結構嵌っている。そんなことで劇中の台詞を思い出したが、周りを見渡せば友人や知人で3回結婚した人はいるが、3回離婚した人はいない。3回している人がいて自分が0回なんて、損してる様な気がして何だか可笑しい。自分の幸せを素直に求めて生きた結果が、3回の法律婚だったなら、それはそれでいいじゃないか。他人にとやかく言われる必要なんてないし。
 正直で馬鹿を見ないなら取り繕いたくない。いざやり直したいと思っても背負っている荷物が大きすぎて動けないこともあるだろう。うまくいく時はいいが、駄目な時は自分が間違っていないことを確認するかのように、人は自分以外の人間の粗ばかり探す。そうしなければ生きていけないのだから悲惨だ。けれども、表裏一体のコメディと思えば、まだ穏やかに過ごせるのかな。

 友人とはそのままカフェの駐車場で近況を話し続けた。18度近い気温で車内を吹き抜ける風が心地よかった。それにしても今日、私はなぜ渡された100円玉を拒んだのだろうか。


 

2021.4.29 記